ビールだけが原因じゃない?痛風を引き起こす「尿酸値」を上げるNG習慣と食事のコツ
健康診断の結果に目を通したとき、「尿酸値が高めです」と言われたことはありませんか?
「もしかして、痛風になってしまうのでは…」と不安に思う方も多いでしょう。
痛風は、ある日突然、足の親指の付け根などに激しい痛みと腫れを引き起こす病気です。
痛風の予防と聞くと、真っ先に「ビールを控える」ことを思い浮かべるかもしれません。
しかし、実はビールを避けるだけでは不十分な場合が多いのです。
本コラムでは、痛風の原因となる「高尿酸血症」と食生活の関係について、最新の医学的知見をもとにわかりやすく解説します。今日から実践できる食事のコツを身につけ、痛風の不安を手放しましょう。
1. 痛風の引き金「高尿酸血症」とは?
痛風発作は、血液中の尿酸が過剰になり、関節の中で結晶化して炎症を起こすことで発症します。この状態を引き起こす基礎疾患が「高尿酸血症」です。
性別や年齢を問わず、血液中の尿酸溶解濃度である7.0 mg/dLを正常上限とし、これを超える状態が高尿酸血症と定義されています。
高尿酸血症を放置すると、痛風関節炎(痛風発作)を繰り返すだけでなく、腎障害や尿路結石を高頻度で合併します。さらに、肥満や高血圧、脂質異常症、耐糖能異常などの生活習慣病を合併しやすく、これらが集積することで心血管疾患のリスクも高まると考えられています。
そのため、痛風の治療および予防においては、血清尿酸値を6.0 mg/dL以下に維持することが望ましいとされています。
2. 尿酸値を上げるNGな生活習慣
尿酸値を上げてしまう原因は、決して「プリン体の多い食事」だけではありません。
以下のような習慣が重なることで、リスクは跳ね上がります。
- 過食・高脂肪・高たんぱく食の嗜好:プリン体だけでなく、カロリーオーバー自体が問題を引き起こします。
- 常習的な飲酒:アルコールそのものが尿酸値を上げる大きな原因です。
- 肥満:肥満指数(BMI)の上昇とともに、高尿酸血症の合併が増加します。特に内臓脂肪型肥満では、尿酸排泄低下型が31%、尿酸産生過剰型が56%と高率で報告されています。
- 運動不足:適度な運動を行わないことも、肥満や代謝異常を招く原因となります。

3. 【Q&A】痛風と食事にまつわるよくある疑問
Q1. ビール以外の「プリン体オフ」のお酒や、焼酎・ウイスキーなら飲んでも大丈夫?
- 種類を問わず、アルコールの飲み過ぎ自体がNGです。
アルコール飲料は、プリン体をあまり含まなくても、その代謝(エタノール等)によって体内のプリン体分解を亢進させ、同時に腎臓からの尿酸排泄を低下させて血清尿酸値を上昇させます。そのため、過剰摂取は厳格に慎むべきです。
1日のアルコール摂取制限の目安は以下の通りです。
- 日本酒:1合
- ビール:500mL
- ウイスキー:ダブル1杯
- また、週に2日以上の禁酒日(休肝日)
を設けることが推奨されています。

Q2. 痛風の人が「絶対に食べてはいけないもの」はありますか?
- 絶対に食べてはいけないものはありませんが、量と頻度には注意が必要です。
厳密な低プリン食を毎日続けることは現実的ではないため、「高プリン食を極力控える」という指導が望ましいとされています。1日のプリン体摂取量が400 mgを超えないようにするのが実践的です。
4. 今日からできる!尿酸値を下げる3つのアクション
アクション①:食品の「プリン体含有量」を知り、賢く選ぶ
プリン体は細胞の核に含まれる物質であるため、細胞の数が多い食材(レバーなどの内臓類)や、乾燥して成分が凝縮された干物などに多く含まれます。以下の表を参考に、食材選びを工夫しましょう。
【食品100gあたりのプリン体含有量目安】
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分類 |
プリン体量 |
主な食品例 |
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極めて多い |
300 mg~ |
鶏レバー、マイワシ干物、イサキ白子、あんこう肝酒蒸し、カツオブシ、ニボシ、干し椎茸 |
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多い |
200~300 mg |
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、サンマ干物 |
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少ない |
50~100 mg |
ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚バラ、牛肩ロース、牛肩バラ、牛タン、マトン、ボンレスハム、プレスハム、ベーコン、ツミレ、ほうれんそう、カリフラワー |
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極めて少ない |
~50 mg |
コンビーフ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、焼きちくわ、さつま揚げ、カズノコ、スジコ、ウインナソーセージ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、とうもろこし、じゃがいも、さつまいも、米飯、パン、うどん、そば、果物、キャベツ、トマト、にんじん、大根、白菜、ひじき、わかめ、こんぶ |
※魚卵(カズノコやスジコ)は意外にもプリン体が「極めて少ない」分類に入りますが、コレステロールや塩分が高いため食べすぎには注意しましょう。
アクション②:水分をたっぷり摂って尿酸を洗い流す
尿酸は尿と一緒に体外へ排泄されます。尿中の尿酸濃度を低下させるため、1日2,000 mL以上の尿量を確保できるような十分な水分摂取が推奨されています。水や麦茶など、糖分のない飲み物でこまめに水分補給をしましょう。
また、高尿酸血症の患者さんは尿が酸性に傾きやすい、pH6.0未満という特徴があり、これが尿路結石のリスクを高めます。尿をアルカリ化する食品(海藻類や野菜など)の積極的な摂取も効果的です。
アクション③:適度な「有酸素運動」で肥満を解消する
肥満解消のために運動療法が必要ですが、激しすぎる運動はエネルギーを急激に消費し、かえって尿酸値を上昇させる危険があります。
適正な体重を目標に、食後1時間以降に毎日継続できるような、軽い有酸素運動を行うことが推奨されています。有酸素運動は血清尿酸値に悪影響を与えず、体脂肪の減少や軽症高血圧の改善、HDLコレステロールの上昇など、合併しやすい病態の改善にも繋がります。

5. まとめ
痛風や高尿酸血症は、長年の生活習慣の積み重ねによって引き起こされる、体からのSOSです。ビールを控えるだけでなく、食べ過ぎを防ぎ、水分をしっかり摂り、適度な運動を取り入れるなど、包括的な生活習慣の見直しが根本的な解決へと繋がります。
食事制限や禁酒を極端に行うとストレスになり、リバウンドを招きやすくなります。
まずはご自身が無理なく続けられる小さな習慣からスタートし、少しずつ健康的なライフスタイルへとシフトしていきましょう。