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関節リウマチ

関節リウマチ

関節リウマチとは

体中の関節で関節を包み込む滑膜と呼ばれる部位があります。関節リウマチは滑膜に慢性の炎症が生ずることによる進行性の全身炎症疾患です。
一般的には手の指 足の趾など小関節から発症することが多く、進行に従い膝や股関節など大きな関節にまで腫れや痛みなどを引きおこすこともあります。

関節リウマチの患者さんは人口の0.5~1%といわれており我が国では凡そ80万人と推定されます。
女性が男性の4倍程度多く発症するといわれています。発症年齢は10代から20歳代 30歳代にかけて増加し40-50歳代がピークといわれていますが近年では60歳以上の高齢発症関節リウマチ患者さんも増加している印象があります。

昭和時代までは有効な治療薬が乏しく、変形が進行するため整形外科的な手術治療が盛んに行われましたが平成の時代以降には関節リウマチの治療薬が次々に開発され、その成績は目覚ましいものがあります。
さらに治療薬の研究開発は続いており、ある薬が効かない患者にも次の薬を提案できる良い時代になってきています。

しかし、有効な薬は副作用もあり高価であることなどメリットとデメリットを理解したリウマチ専門医による治療がますます重要な意味を持つ時代になってきています。

関節リウマチの症状

典型的な例では手指の第2関節(近位指節間関節=PIP関節)や握りこぶしの関節(中手指節関節=MP関節)に腫れが見られ時には熱を持つこともあります。朝のこわばりといって、起床時に手が向くような張った感じを経験する方が多いのも特徴です。
手指の第1関節(遠位指節間関節=DIP関節)の痛みや変形は関節リウマチよりも変形性関節症によるへバーデン結節の可能性が高いです。

治療をうけずに経過し病状が進行すると手指の変形が出てきます。代表的な例スワンネック変形 ボタン穴変形 手指の尺側偏位などです。足部の変形も比較的多くみられます。
関節以外の症状として肺疾患(感染症、間質性肺炎 胸膜病変 )や血管炎としての発熱 体重減少 浮腫など全身症状を起こすこともあります。

関節リウマチが起こる原因

関節リウマチは膠原病という疾患の一つです。正常であれば細菌やウイルスなど外来異物から体を守るためのシステム(免疫)が働きますが、膠原病の患者さんでは何等かの原因により自分の体内にある細胞への免疫反応が生じ攻撃してしまう状態に陥っています。これを自己免疫疾患といいます。

自己免疫疾患の患者さん種々の炎症が引き続きおこり病状が悪化していくものと考えられています。
現在では世界中の研究者が疾患事の炎症物質や引き金になる物質を順次突き止め、対応する薬が続々と開発されています。しかし、依然としてなぜ自己免疫が生じるのかは不明で今後の研究が待たれています。

検査・診断

(1)問診
①いつからどのような症状がありましたか?
②持続時間はどれくらいですか など

(2)視診 触診 腫れはどこの関節にあるか 熱はあるか 痛みを伴うか 動作時に痛みがあるかなどを診察します。

(3)血液検査
〇白血球
・免疫細胞の数 分画でリンパ球 好中球などの割合を診ます。

〇赤血球
・貧血はないかなどを調べます。

〇肝機能・腎機能は薬剤の治療に重要な意味があります。

〇CRP
・炎症の際に上昇する非特異的な指標です。つまりこれが高いだけでは何の疾患かはわかりませんが治療経過を見るためには最も重要な指標となります。

〇リウマチ因子(RF)
・変性したヒト免疫グロブリンG(IgG)に対する自己抗体。正常なひとでも5-10%に陽性になります。またたの疾患でも陽性になることがあります。

〇抗CCP抗体
・リウマチ因子に比べ陽性になった場合には関節リウマチ患者さんであるかまたは将来的に関節リウマチと診断される可能性が高くなります。

〇MMP-3 滑膜細胞から分泌される酵素です。MMP-3が高い場合関節破壊が進行する可能性が高くなります。関節滑膜に炎症を起こす疾患で増加します。

〇SPD、KL-6
・間質性肺炎の指標として用いられます。数値の高低だけでなく推移が重要。

〇結核の検査
・免疫抑制剤など使用すると結核など感染症を誘発することがあります。

〇B型・C型肝炎検査
・薬剤とくにMTX(メソトレキセート)の治療前に検査を行います。

〇β-Dグルカン
・真菌(カビの一種)に感染していないかをチェックします。

〇画像検査
① レントゲン検査:手指など関節の変形破壊 骨萎縮 胸部写真
② 超音波検査:関節滑膜の炎症の程度をドップラー法などを用いて検査します。
③ MRI:関節破壊がレントゲンで見えない時期から変化を知ることができます。

なお、関節が腫れる、痛みが出る疾患は関節リウマチだけではないので専門医といえども判断に迷う場面もあります。しかし治療がおくれれば変形を生じ、機能障害をきたす場合もあるため、関節リウマチかそれ以外かを判断する基準を欧州リウマチ学会/アメリカリウマチ学会が2010年に策定しました。
この基準で10点中6点以上該当すれば関節リウマチとして治療を開始すべきであるという基準を作ったわけです。これは判断に迷うばかりに治療が遅れ、関節の変形を来す患者さんを少しでも減らすために治療開始を促すためのツールです。

治療方法

日本リウマチ学会 欧州リウマチ学会 米国リウマチ学会がそれぞれ治療指針(ガイドライン)を発行しています。その中で日本リウマチ学会が2020年に発表したガイドラインの中にある薬物治療のフローチャート図を示します。

簡単に説明すると
関節リウマチと診断したらなるべく早く治療を開始します。
その際メソトレキセート(MTX:リウマトレックス等)を第1に考えますが、従来型のリウマチ治療薬(csDMARD)を使うこともできます。(フェーズⅠ)
治療を開始して6か月以内に治療目標が達成できない場合には次のフェーズに進みます。

いずれの場合にも患者さんがメソトレキセートを使用できる場合にはこれを軸に治療を組み立てます。
最近では点滴や自己注射による生物製剤治療やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の治療も利用できるようになってきました。

当院の治療ではなるべく早く炎症をおさえ、寛解と呼ばれる状態に達するために患者さんと相談しながら効果のある薬を使っていきます。院長は生物製剤の初期(2003年)から処方経験がありほとんど全ての生物製剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の治療経験があります。