膝や腰が痛くてもできる?脂質異常症を改善するための安全な運動の選び方
1. 脂質異常症の改善に運動が必要と言われたけれど…
健康診断でコレステロールや中性脂肪の数値を指摘され、医師から「まずは運動を始めましょう」とアドバイスを受けたことはありませんか?
頭では「運動しなければ」と分かっていても、「体重が気になって体が重い」「最近、歩くと膝や腰が痛むから運動するのが不安」という方も少なくないでしょう。
脂質異常症の改善には運動が欠かせませんが、自己流で無理な運動を始めると、かえって関節を痛めてしまうことがあります。
今回は、脂質異常症を改善するための運動の基本と、整形外科の観点から見た「膝や腰に負担をかけず、安全に運動を続けるためのコツ」をわかりやすく解説します。
2. 脂質異常症と運動の深い関係
「脂質異常症」とは、血液中の「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪が多すぎたり、「善玉」のHDLコレステロールが少なすぎたりする状態のことです。この状態を放置すると、血管の壁に脂質が溜まり、動脈硬化を静かに進行させてしまいます。
脂質異常症の改善には、食事療法とともに「運動療法」が非常に重要とされています。
- 有酸素運動が効果的: 脂質異常症の改善には、ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動が推奨されています。
- 中性脂肪を減らし善玉を増やす: 有酸素運動を続けることで、中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす効果が期待できます。
- 運動の目安: 1日30分以上(できれば毎日)、週に合計150分から180分以上の運動を習慣化することが理想的とされています。
このように、運動は血管の健康を守るための強力な味方となります。しかし、だからといって痛みをこらえてまで運動をするのは考えものです。

3. 「痛みを我慢して運動」はNG! 整形外科から見た注意点
「数値を良くするために、膝が痛いけれど毎日1時間ウォーキングをしている」という方がいらっしゃいますが、これは整形外科の観点から見ると非常に危険な場合があります。
膝痛や腰痛がある状態で無理をして歩くと、関節にさらなる負担がかかり、症状を悪化させてしまう可能性があります。痛みが強くなると動くのが億劫になり、運動不足から肥満が進み、結果として脂質異常症や高血圧などの生活習慣病がさらに悪化するという「悪循環」に陥ってしまうのです。
整形外科的な視点では、痛みと内科疾患を同時に管理することがとても大切です。 コレステロールを下げるために運動が必要だと言われても、膝が痛ければ十分な運動はできません。まずは痛みを我慢せずに整形外科を受診し、痛みの治療をしっかり行いながら、無理のない範囲で運動を始めることが、結果的に脂質異常症改善への近道となります。
4. 膝や腰に優しい!おすすめの安全な運動法
では、関節に不安がある方はどのような運動を選べばよいのでしょうか。ポイントは「関節への衝撃を減らしながら、エネルギーを消費する」ことです。
- 水中ウォーキングや水泳: プールでの運動は非常に効果的です。水の浮力によって膝や腰への体重の負担が大幅に軽くなる一方で、水の抵抗があるため、陸上を歩くよりも全身の筋肉をしっかりと使い、安全に有酸素運動を行うことができます。
- サイクリング: 自転車をこぐ運動も、サドルに体重を預けるため、ウォーキングやジョギングに比べて膝や足首への衝撃が少なく済むというメリットがあります。
- 座ったままできる体操・ストレッチ: 立ち上がって運動するのがつらい場合は、椅子に座ったままできる筋力トレーニングや体操、ストレッチなどから始めましょう。足腰の筋肉を維持することは、代謝を良くするためにも重要です。
5. 医師と一緒に無理のない計画を
「自分の体にはどの運動が合っているのか分からない」「正しいフォームが知りたい」という場合は、整形外科での「運動器リハビリテーション」を活用するのも一つの良い方法です。
当院では、理学療法士から、現在の関節や筋肉の状態に合わせ、体に負担をかけない運動方法を具体的に指導することができます。また、歩行時の負担を減らすために、適切な靴やインソールのアドバイスも行います。関節を守るためには有効です。
6. まとめ
脂質異常症の改善には運動が必要不可欠ですが、ご自身の関節の状態を無視して突っ走ってしまっては元も子もありません。 まずは「痛みの治療」を第一歩とし、動ける体を取り戻すことから始めてみましょう。関節への負担が少ない安全な運動を選び、自分に合ったペースで長く習慣化していくことが、血管を若々しく保つための最大の秘訣です。
運動を始めるにあたって、少しでも膝や腰に痛みや不安を感じる方は、自己判断で無理をせず、まずはかかりつけの内科医や整形外科の専門医にご相談ください。