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睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

★駐車場10台、初めての方は受付から30分以内に診察するように配慮しております。
★検査は自宅で機械を付けて眠るだけの簡単な検査です。

目次

〇睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
〇SASになる原因
〇SASだと困るの?
〇SASにみられる症状
〇自分がSASかどうかわかるの?
〇SASの検査方法
〇SASとわかったらどうするのがよいの?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS=Sleep Apnea Syndrome)
睡眠は昼間の活動で疲れた体と脳を休息させるための、とても重要な時間帯。睡眠がじ充分にとれない状態が続くと、「眠い」「疲れた」というだけでなく、さまざまな悪影響を及ぼすようになります。
とくに睡眠中に呼吸が止まるような事態が繰り返されると、体に取り込まれる酸素の量が少なくなってさまざまな臓器に障害をもたらす上に、日中に眠くなり活動が低下するなど、社会生活にも影響を及ぼすようになります。

睡眠を妨げる要因のひとつとして最近注目されている病気に、睡眠時無呼吸症候群があります。
文字どおり、眠っているときに無呼吸状態になる病気で、SAS (Sleep Apnea Syndrome)とも呼ばれています。
無呼吸状態とは、呼吸が10秒以上止まっていることを指し、この状態が7時間に30回以上、あるいは1時間あたり5回以上あると睡眠時無呼吸症候群(SAS)となります。


2003年2月に山陽新幹線で起こった列車緊急停止事故をご記憶の方も多いでしょう。乗客を乗せた新幹線が、運転士が眠ったまま時速270kmで走りつづけたのです。原因が睡眠時無呼吸症候群(SAS)による居眠りと分かり、社会に大きな衝撃を与えたのでした。
(写真は毎日新聞より:本文とは関係ありません)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症するおもな原因にはつぎのようなものがあります。

〇SASになる原因

・太っていてあごや首に脂肪がついている
・アデノイドなどの病気により、扁桃が肥大している
・花粉症やアレルギーなどで、鼻が詰まりやすい
・アゴが小さい
・アルコールの摂取により筋肉がゆるんで、のどがふさがりやすくなる

SASは太った人に多い病気と思われがちですが、日本人など東アジア系の人間ではやせていてもアゴが小さいなどの顔の特徴から、SASにかかる人が多くみられます。太っていないからと関係ないと判断するのは禁物です。
さらに狭心症などの虚血性心疾患や心不全、肺の病気などにかかっていると、SASを悪化させるといわれています。
逆にSASはこれらの疾患を悪化させることもわかっています。

SASだと困るの?


SASによる睡眠中の低酸素血症や高炭酸ガス血症は、肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病と密接な関係があり、様々な合併症を高率に引き起こすことが報告されています。合併症は多岐にわたり、高血圧、多血症、不整脈、虚血性心疾患、心不全、脳血管障害、糖尿病、肺高血圧症、インポテンツなどが代表的なものとして上げられます。

近年、SASが関連する交通事故や居眠り運転が原因の交通事故がマスコミ等でも多く取り上げられています。
中等度以上のSAS患者さんの場合、交通事故を起こす頻度はSASでない人に比べて7倍も高くなるとの報告があり、とくに重度SAS患者で有意に事故率が高いことが報告されています

〇SASにみられる症状
睡眠時無呼吸症候群(SAS)にかかると、じゅうぶんに眠れないことが原因となってさまざまな症状が現れるようになります。あなたはつぎのような症状に心当たりありませんか?

■眠っているとき
● いびきをかく● 息が止まる● 呼吸が乱れる● 息が苦しくて目が覚める● なんども目を覚まし、トイレに行く

■日中、起きているとき
● しばしば居眠りをする● 記憶力や集中力が低下する● 性欲がなくなる● 性格が変化する● 体を動かすときに息切れする.

上記の項目は、いずれも睡眠時無呼吸症候群(SAS)によく見られる症状です。

自分がSASかどうかわかるの?

日中の過度の眠気や睡眠中に大きなイビキを指摘され、外来を受診した場合、まず簡単な問診を行います。代表的なものに『ESS眠気テスト』があります。

〇セルフチェック
医療機関で睡眠時無呼吸症候群(SAS)を調べるには、まずは問診で生活習慣や症状について聞き取りを行います。そして睡眠の状態について、おもにつぎの調査表を用いて調べます。
24点満点のうち、11点を超えると眠気は強いと判断されます。

眠気の評価:Epworth sleepiness scale(ESS)
以下の8つの状況での眠気を、次の0~3の4段階で評価します。
0=決して眠くならない 1=ときに眠くなる 2=しばしば眠くなる 3=眠くなることが多い

1. 座って読書しているとき
2. テレビを見ているとき
3. 公の場で座って何もしないとき(観劇や会議など)
4. 1時間続けて車に乗せてもらっているとき
5. 状況が許す場合で、午後に横になって休息するとき
6. 座って人と話しているとき
7. アルコールを飲まずに昼食をとった後、静かに座っているとき
8. 車を運転中、交通渋滞で2~3分停止しているとき

合計点
5点未満:日中の眠気少ない
5~10点:日中の軽度の眠気あり
11点以上:日中の強い眠気あり
11点以上の場合には次にお示しする検査をおすすめします。

他にも睡眠障害に関する生活習慣病等の診察を行って、さらに睡眠呼吸障害の検査の必要性を認めた場合、簡易型検査装置によるスクリーニング検査を行います。多くは鼻口気流、気管音、SpO2を記録するものですが、呼吸運動や体動、心電図など測定できる項目が多い装置もあります。

SASの検査方法・診断までの流れ

〇簡易PSG(スクリーニング);当院で実施できます

簡易型検査装置でSASである可能性が高いと判断された場合、さらに詳しい終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を行い、睡眠中の低酸素状態や脳波による覚醒状態、鼻口気流の途絶・再開、胸腹部の呼吸運動などからSASの状態を詳しく判定します。
この時の指標としてAHIを用います。
AHI:睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数をAHI(Apnea Hypopnea Index) =無呼吸低呼吸指数と呼びます。

〇PSG(確定診断)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を確定するためには、ポリソムノグラフィー(Polysomnography:PSG)という検査があります。
これは医療機関に泊りがけまたは在宅で行う検査法で、頭や顔、体の必要な部位にテープで電極を貼りつけ、実際に一晩眠りながら脳波や呼吸、眼球、筋肉の動きなどを記録し、睡眠の状態について調べるものです。
この結果を解析し、正常な睡眠の経過と比較することで、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断を行います。

SASだとわかったらどうするのがよいの?

〇治療法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、つぎのような治療を行います。
・減量
・生活習慣の指導
・CPAP(持続陽圧呼吸療法)
・口腔内装置
・手術治療
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が軽症の場合は、減量や生活習慣だけで症状が改善することもあります。しかしある程度症状が進んでしまった患者さんは、ひどい眠気のために気力が低下し、減量や生活習慣改善にもなかなか前向きにとりくむことができません。
こうした患者さんには、CPAPと呼ばれる装置を使った治療が適しています。

CPAP:持続陽圧呼吸療法
クリーニング検査でAHI40以上、または確定診断でAHI20以上で保険診療でのCPAP治療が適用となります。CPAPとは、鼻に装着したマスクから空気を送りこむことによって、ある一定の圧力を気道にかける方法です。Continuous Positive Airway Pressureの頭文字をとってCPAP(シーパップ)と呼ばれ、いまや睡眠時無呼吸症候群(SAS)のもっとも重要な治療法となっています。

健康な人であれば、息を吸うと横隔膜が収縮して胸腔がひろがり、胸腔の中が陰圧になります。この陰圧によって空気が鼻の穴からのどを通り、気管から肺に流れこみます。しかし睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんはこの陰圧によって、のどのやわらかい組織が内側にひきこまれ、気道が狭くなってしまうのです。狭くなった気道を空気が通ると、まわりの組織が振動します。これがいびきです。完全に狭くなってしまうと、無呼吸となってしまいます。

CPAPを使うとその風圧により、のどの中にスペースが確保され、やわらかい組織を強制的に押し開きます。すると患者さんは鼻でスムースに呼吸をすることが出来るようになるのです。
CPAP(持続式陽圧呼吸療法)を使うと、ほとんどの患者さんが使ったその日からいびきをかかなくなり、朝もすっきり、昼間の眠気も軽くなり、消えることもあります。重症の睡眠時無呼吸の患者さんでは、CPAPを使わなかった患者さんより長生きをすることも分かっています。
※CPAP療法は根治療法ではありません。

CPAP療法は、毎日使用することによって効果を維持することができます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)はCPAP使用中のみ改善されています。
使用しないときは元の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の状態なので注意が必要です。

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