膝の関節の表面を覆っている軟骨が、長年の使用や負担によってすり減り、膝に痛みや腫れ、変形が生じる病気です。
軟骨は骨と骨が直接ぶつかるのを防ぐクッションの役割を果たしていますが、これがすり減ることで骨同士がこすれ合い、強い痛みや炎症を引き起こします。

中高年の方に非常に多く見られる疾患で、特に女性に多く(男性の約4倍)、年齢を重ねるごとに発症する割合が高くなります。
変形性膝関節症の原因と症状

原因
最も多い原因は、加齢に伴う軟骨の老化です。
それに加えて、以下のような要因が発症や進行に影響を与えます。
- 肥満・体重増加
膝には歩くときに体重の約3倍、階段の昇り降りでは約4〜5倍の負担がかかるため、体重の増加は大きなリスクとなります。 - 筋力の低下
膝を支える太ももの筋肉(大腿四頭筋)が衰えると、関節への負担が増加します。 - 過去のケガ
半月板損傷や靭帯損傷、骨折などの外傷歴がある方は発症しやすくなります。 - 体型・遺伝的要因
日本人に多い「O脚」は、膝の内側に負担が集中しやすいため、変形性膝関節症の原因となります。
症状
症状はゆっくりと進行していくのが特徴です。40代以降に発症しやすい疾患です。
進行状況別の症状は以下のようになります。
- 初期
朝起きて歩き始めるときや、イスから立ち上がるときに膝にこわばりや痛みを感じます。
しばらく歩いたり、休んだりすると痛みが治まることが多いです。 - 中期
歩き始めだけでなく、歩いている最中も痛むようになります。- 階段の昇り降り(特に下りる時)
- 正座やしゃがむ動作
- 関節に炎症が起き、膝に水が溜まって腫れる
- 進行期
-
- 中期から、進行して常に痛みがある状態。安静時にも痛みがあります。
- 末期
軟骨がほとんどなくなり、骨同士が直接ぶつかるため、安静にしていても強い痛みを感じます。- 膝の変形(O脚など)が外見からもはっきりと分かるようになります。
- 歩行時に膝の安定性が低下し、日常生活に大きな支障をきたします。
変形性膝関節症の検査

当院では、以下の診察・検査を行い診断します。
【問診・視診・触診】
痛みの出る動作、膝の腫れ(水が溜まっているか)、変形の程度、関節の動く範囲(可動域)などを確認します。
【X線(レントゲン)検査】
骨の状態を確認します。骨と骨の隙間(軟骨の厚み)が狭くなっていないか、トゲのような骨ができていないかなどを調べます。
【MRI検査】
レントゲンでは写らない軟骨や半月板、靭帯の状態を詳しく確認する必要がある場合に行います。
※必要に応じて近隣のグループクリニックをご紹介します。
変形性膝関節症の治療
〇保存療法
1.生活指導
膝への負担を減らすため、適正体重への減量指導や日常動作の工夫 などをアドバイスします。
2.運動療法
運動療法ではリハビリテーションを行い、膝を支える太ももの筋肉を鍛えるトレーニングや関節を柔らかくするストレッチを行います。
痛みの改善に非常に効果的です。膝のみならず体幹部を鍛えることも必要です。
3.装具療法
膝の内側にかかる負担を軽減するために、サポーターで膝を保温・固定をします。また足底インソールを装着する場合もあります。
4.薬物療法・注射
痛みが強い時期には、消炎鎮痛剤(飲み薬・湿布・塗り薬)を処方します。関節の滑りを良くし、炎症を抑える「ヒアルロン酸」を膝の関節内に直接注射する治療も効果的です。
〇手術療法
保存療法では痛みが改善せず、生活に大きく支障が出ている場合、手術を検討します。
専門の医療機関をご紹介いたします。
変形性膝関節症の予防法
・太ももの筋肉を鍛える
イスに浅く座り、片膝をまっすぐ伸ばして数秒キープする体操などが効果的です。
・適正体重を保つ
食べ過ぎに注意し、膝に負担をかけない範囲で有酸素運動(散歩やサイクリングなど)を取り入れましょう。
・膝を冷やさない
冷えは血行を悪くし、痛みを強める原因になります。サポーターや入浴などで膝を温めましょう。
・膝に優しい靴を選ぶ
クッション性が高く、かかとが安定した靴を選びましょう。ハイヒールは膝への負担が大きいため控えることをおすすめします。
変形性膝関節症に関するよくあるご質問
Q. 膝に水が溜まったら、抜くとクセになると聞いたのですが本当ですか?
A.「水を抜くからクセになる」ということはありません。
膝に水が溜まるのは、関節内で炎症が起きているためです。水を抜くことで痛みが和らぎ、関節が動かしやすくなります。
炎症が治まらない限り水は再び溜まりますが、適切な治療を行い炎症を鎮めることで、水は溜まらなくなっていきます。
Q.膝が痛い時でも運動はしたほうがいいですか?
A. 痛みが強く、腫れや熱を持っている場合は「安静」にしてください。痛みが強い場合は運動は控えましょう。
痛みが少し落ち着いてきたら、無理のない範囲で太ももの筋肉を鍛える運動をすることが大切です。
長期間動かさないでいると、筋力が落ちてさらに膝への負担が増し、症状が悪化する原因になります。
具体的な運動方法は、当院の理学療法士にお任せください。
Q.コンドロイチンやグルコサミンなどのサプリメントは効果がありますか?
A. ヒアルロン酸などのサプリメントは、関節への注射とは異なり、口から飲んだ場合の科学的・客観的な有効性は現状証明されていません。
しかし「絶対に効かない」というデータもないため専門機関も全否定はしていませんが、巨大な分子は腸で分解されるため、直接関節に届いて作用するとは考えにくいのが実情です。
したがって、現在サプリメントを利用している方はご自身の感覚で効果を冷静に判断し、実感がなければ無理に費用をかけて継続する必要はありません。
