「痛風だと思ったら、尿酸値は正常だった」という方へ
その関節の腫れ、本当に痛風?間違えやすい病気と見分け方
ある日突然、関節が赤く腫れて激しく痛む。
そんなとき、多くの方が「痛風かも」と考えます。しかし、関節が急に腫れる病気は痛風だけではありません。
病気によって治療は大きく異なり、なかには早めの治療が必要な感染症もあります。
今回は、痛風と間違えやすい病気と、その見分け方のポイントをご紹介します。
痛風と間違えやすい主な病気
| 病気 | 多い方 | 起こりやすい場所 | 特徴・見分けのヒント |
|---|---|---|---|
| 痛風 | 30〜50代の男性が中心 | 足の親指の付け根、足首、足の甲 | 尿酸の結晶が原因。健診で尿酸値が高いと言われていることが多い。発作が起きている時は、数値が正常範囲のこともあるため、非発作時の採血が重要です。 |
| 偽痛風 | 60〜80代。男女差は少ない | 膝が最多。手首、肩、足首 | 尿酸値は正常。レントゲンで軟骨の石灰化が見られることがある |
| 蜂窩織炎 | 年代を問わない。糖尿病の方も注意 | すね、足の甲など | 皮膚の細菌感染。赤みが関節を越えて広く広がる。発熱を伴うことも |
| 化膿性関節炎 | 高齢の方、糖尿病の方など | 膝が多い | 関節内の細菌感染。発熱を伴い急速に悪化。早急な治療が必要 |
| 関節リウマチ | 30〜60代の女性に多い | 手指、手首、足指など | 複数の関節が左右対称に腫れやすい。朝のこわばり |
| 外反母趾による炎症 | 女性に多い | 足の親指の付け根 | 親指が小指側に曲がり、靴でこすれて痛む。痛みは徐々に強くなることが多い |
※あくまで目安です。年代や場所が当てはまらないこともあり、症状だけでの見分けは難しいため、検査による確認が大切です。
もっとも間違えやすい「偽痛風」とは
偽痛風は、関節の中に「ピロリン酸カルシウム」という結晶がたまり、痛風とそっくりな急な関節炎を起こす病気です。
痛風は尿酸の結晶が原因なので、名前は似ていても原因はまったく別物です。
痛風との主な違い
- 年代・性別:痛風は働き盛りの男性に多い一方、偽痛風は60〜80代の高齢の方に多く、男女差は少ないとされます。
- 場所:痛風は足の親指の付け根が典型ですが、偽痛風は膝に多く、手首や肩、足首にも起こります。
- 背景:偽痛風は、加齢による関節の変形(変形性関節症)が主な背景と考えられています。ケガや手術、ほかの病気をきっかけに発作が起こることもあります。
- 治療:尿酸値を下げる薬は偽痛風には効果がありません。炎症を抑える薬や、関節にたまった水を抜く処置などで痛みを和らげます。
「膝に水がたまって熱を持っている」「以前から膝の変形を指摘されている」という高齢の方の急な膝の腫れは、偽痛風の可能性も考えられます。
膝の痛み全般については「膝が痛い」のページもご覧ください。
「尿酸値が正常=痛風ではない」とは言い切れません
意外に知られていませんが、痛風の発作中は血液中の尿酸値が一時的に下がり、正常範囲に入ることがあります。
そのため、発作中の1回の血液検査だけでは痛風を否定できません。
反対に、健診で尿酸値が高いと言われている方の関節痛が、必ずしも痛風とは限りません。
尿酸値が高い方に偽痛風や蜂窩織炎が起こることもあります。
過去の健診結果や症状の経過もあわせて判断することが大切です。
見分けるための検査
症状だけでは区別がつきにくいため、いくつかの検査を組み合わせて判断します。
当院では次の検査を院内で行えます。
- 血液検査:尿酸値に加え、炎症の強さ(CRPなど)、腎機能を確認します。必要に応じて関節リウマチに関わる項目も調べます。
- レントゲン検査:偽痛風でみられる軟骨の石灰化や、外反母趾・変形性関節症による骨の変化を確認します。
- 超音波検査:関節の中に尿酸の結晶がたまっている様子や、炎症の広がりを痛みなく確認できます。
なお、痛風や偽痛風を確定するもっとも確実な方法は、関節にたまった液を採取して結晶を調べる検査です。
症状や検査結果に応じて、必要な検査をご提案します。
自己判断で様子を見るのはこんなときに危険です
「以前も痛風だったから、今回も痛み止めで様子を見よう」と自己判断してしまうと、感染症の治療が遅れることがあります。
次のような場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 38℃以上の発熱や、寒気・ふるえがある
- 赤みや腫れが関節の周りを越えて、時間ごとに広がっている
- 小さな傷や水虫など、皮膚に傷口がある
- 膝などの大きな関節が腫れて、まったく動かせない
- 糖尿病がある、または免疫を抑える薬を飲んでいる
- これまでの痛風と痛む場所や痛み方が違う
また、痛みがある関節を温めたり、マッサージしたりすると炎症が強くなることがあります。
受診までは安静にし、ご家族の薬を飲んだりしないようにしましょう。
痛風発作の前触れについては「痛風の前兆」のブログで解説しています。
整形外科・リウマチ科・内科をまとめて受診できます
関節の腫れを起こす病気には、痛風のような内科的な病気も、偽痛風や変形性関節症のような整形外科の病気も、関節リウマチのようなリウマチ科の病気もあります。
「どの科を受診すればよいかわからない」と迷う方も少なくありません。
当院では、日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医である院長が、関節の状態を確認したうえで、尿酸値の管理など内科的な治療まで、ひとつのクリニックで対応しています。
腫れや痛みが強いときも、我慢せずにご相談ください。