骨密度検査の結果の読み方
骨密度検査の結果の見方|YAM値・Tスコアの意味と数値別の対策
骨密度検査の結果は、主に「YAM値(%)」と「Tスコア」で示されます。どちらも若い世代の平均と比べた数値です。
目安は、YAM値80%以上が正常、70%を超え80%未満が骨量減少、70%以下が骨粗しょう症です。
ただし、診断は数値だけでは決まりません。骨折の有無や、どの部位で測ったかもあわせて判断します。
健診や他の医療機関で数値だけを渡され、「結局、自分の骨は大丈夫なのか」と迷う方は少なくありません。
今回は、結果用紙の読み方と、数値ごとに何をすればよいかをまとめます。
骨密度検査の結果に書かれている数値の意味
YAM値(%):若い人の平均を100%としたときの割合
YAM(ヤム)は「Young Adult Mean」の略で、若年成人の平均値という意味です。
骨の量が最も多い20〜40代前半の平均を100%として、ご自身の骨密度が何%にあたるかを示します。日本の診断基準では、主にこのYAM値を使います。
Tスコア:若い人の平均からどれだけ離れているか
Tスコアは、若年成人の平均との差を「標準偏差(SD)」という単位で表したものです。
0に近いほど若い人の平均に近く、マイナスが大きいほど骨密度が低いことを示します。
世界保健機関(WHO)の基準で使われる数値です。
Zスコア:同じ年代の平均と比べた数値
結果用紙によっては、Zスコアや「同年齢比較(%)」も載っています。これは同じ年代の平均との比較です。
高齢になると同年代の平均そのものが下がるため、「同年代並みだから安心」とは限りません。
治療が必要かどうかは、YAM値やTスコアで判断します。
| 判定 | YAM値 | Tスコア |
|---|---|---|
| 正常 | 80%以上 | −1.0以上 |
| 骨量減少(骨粗しょう症の予備群) | 70%超〜80%未満 | −1.0未満〜−2.5超 |
| 骨粗しょう症 | 70%以下 | −2.5以下 |
「70%」「80%」の境目だけで診断が決まるわけではない
日本の診断基準では、骨折の有無によって判断が変わります。
- 背骨や大腿骨近位部(太ももの付け根)を、軽い力で骨折したことがある:骨密度に関係なく骨粗しょう症と診断されます
- 手首・肋骨・骨盤・腕の付け根などを、転んだ程度の軽い力で骨折したことがある:YAM値80%未満で骨粗しょう症と診断されます
- 骨折したことがない:YAM値70%以下、またはTスコア−2.5以下で骨粗しょう症と診断されます
背骨の骨折は、強い痛みが出ないまま起こることがあります。
「骨折したことはない」と思っていても、レントゲンで見つかる場合があるため、骨密度とあわせて背骨の状態も確認することが大切です。
測った場所によって数値は変わる
腰椎と大腿骨、両方を測る理由
骨密度は部位によって数値が異なります。
診断には、骨折が起こりやすい腰椎と大腿骨近位部(太ももの付け根)を、DEXA(デキサ)法で測ることが推奨されています。
2か所の結果が違う場合は、低いほうの数値で判断します。
腰椎は、背骨の変形や血管の石灰化があると、実際より高い数値が出ることがあります。
年齢を重ねた方ほど、大腿骨の数値もあわせて見ることが大切です。
かかとの超音波検査で「低め」と言われたら
健診や自治体の検診で行う、かかとの超音波検査は、骨折リスクのある人を見つけるための「ふるい分け」の検査です。
この検査で低めと言われた場合は、腰椎・大腿骨のDEXA検査で正確に測り直すことをおすすめします。
※前腕骨やかかとなどで測定する方法もありますが、世界保健機関(WHO)や日本骨代謝学会のガイドラインでは、骨粗しょう症の診断に用いる骨密度の測定部位として「腰椎」または「大腿骨近位部」が推奨されています。
数値別:今日からできること
YAM値80%以上:今の骨を維持する
今は骨粗しょう症ではありません。骨の量を保つために、食事・運動・日光浴の習慣を続けましょう。
特に女性は、閉経をきっかけに骨密度が急に下がることがあります。
40歳を過ぎたら、自治体の骨粗しょう症検診なども活用して、定期的に測ることをおすすめします。
YAM値70%超〜80%未満:生活習慣の見直しが中心
骨粗しょう症の予備群です。まずは食事と運動の見直しが基本になります。
ただし、次のような方は骨折の危険が高いため、この段階でも薬による治療を検討します。
- 親が太ももの付け根を骨折したことがある
- 年齢・体格・喫煙・飲酒などから計算した骨折リスクが高い
生活習慣を見直したうえで、1年ほどを目安に再検査し、数値の変化を確認しましょう。
YAM値70%以下:薬による治療を検討する
骨折を防ぐために、薬による治療を検討する段階です。
- 骨が壊されるのを抑える薬(骨吸収抑制剤)
- 骨をつくる働きを高める薬(骨形成促進剤)
- カルシウムの吸収を助ける薬(活性型ビタミンD)
- 女性ホルモン(エストロゲン)と同じような働きをして、骨が壊されるのを抑えて骨密度を保つ薬(SERM:選択的エストロゲン受容体調整薬)
などがあり、骨密度や骨折の有無、持病、採血結果、通院のしやすさなどを考慮して医師が選びます。
治療中は定期的に骨密度を測り、効果を確認しながら続けます。
骨を守る食事・運動・日光浴のポイント
食事:カルシウムだけでなく、ビタミンDとビタミンKも
- カルシウム(1日700〜800mgが目安):牛乳・ヨーグルト・チーズ、小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、小松菜
- ビタミンD(カルシウムの吸収を助ける):鮭・さんまなどの魚、きのこ類
- ビタミンK(骨にカルシウムを取り込む働きを助ける):納豆、ほうれん草・ブロッコリーなどの緑黄色野菜
過度な飲酒や喫煙は骨を弱くします。
また、極端な食事制限によるダイエットも骨密度を下げる原因になります。
運動:骨に適度な刺激を与える
骨は、体重がかかる刺激を受けることで強くなります。
ウォーキングや、かかとを上げ下げする運動を日常に取り入れましょう。
片脚立ち(左右それぞれ1分ずつ、1日3回)は、骨への刺激とあわせて転倒予防にも役立ちます。
転ばないよう、机や壁につかまって行ってください。
膝や腰に痛みがある方は、無理に歩くとかえって悪化することがあります。
痛みにあわせた運動の方法は、理学療法士にご相談ください。
日光浴:ビタミンDは日光を浴びると体でつくられる
ビタミンDは、皮膚が日光を浴びることで体内でもつくられます。
散歩や買い物のついでに、短時間でも外に出る習慣をつけましょう。
数値だけでは見えない「骨折のしやすさ」
骨の強さは、骨密度だけでなく、骨の質にも左右されます。
次にあてはまる方は、骨密度が正常範囲でも骨折しやすいことがあるため、医師にお伝えください。
- 糖尿病がある(骨密度が保たれていても、骨の質が低下して骨折しやすいことが知られています)
- ステロイド薬を3か月以上飲んでいる、または飲む予定がある
- 関節リウマチがある
- 閉経が早かった、やせ型である
- 喫煙習慣がある、お酒をよく飲む
- 親が太ももの付け根を骨折したことがある
よくある質問
Q. 骨密度検査(DEXA)は痛いですか?時間はかかりますか?
A. 痛みは全くありません。
検査台にあお向けに横になるだけで、数分で終わります。
使うX線の量はごくわずかで、一般的な胸のレントゲンより少ない量です。
Q. どのくらいの間隔で検査を受ければよいですか?
A. 治療中の方は、効果を確かめるために定期的に測ります。
間隔は治療内容や数値によって異なるため、医師と相談して決めましょう。
治療をしていない方も、骨量減少と言われた場合は1年ほどを目安に再検査をおすすめします。
Q. 男性も骨密度検査を受けたほうがよいですか?
A. 男性も年齢とともに骨密度は下がります。
70歳以上の方や、ステロイド薬を飲んでいる方、喫煙や飲酒の習慣がある方は、一度測っておくと安心です。
Q. 背が縮んだ気がします。骨密度と関係がありますか?
A. 背骨の圧迫骨折が原因のことがあります。
若い頃と比べて身長が縮んだ、背中が丸くなってきたと感じる方は、骨密度検査とあわせて背骨のレントゲンを受けることをおすすめします。
当院の骨粗しょう症診療
当院では、DEXA法による腰椎・大腿骨の骨密度検査と、レントゲンによる背骨の確認を行い、結果をもとに治療の必要性をご説明しています。
整形外科に加えて内科・リウマチ科を併設しているため、糖尿病や関節リウマチなど骨に影響する病気をお持ちの方も、あわせてご相談いただけます。
理学療法士による運動指導や、通所・訪問リハビリにも対応しています。
他の医療機関や健診で受けた結果をお持ちの方は、受診の際にご持参ください。