間欠性跛行の見分け方
歩くと足が痛む・しびれる「間欠性跛行」|腰が原因か血管が原因かの見分け方
しばらく歩くと足が痛くなったりしびれたりして歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる。
この症状を「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」といいます。
原因として代表的なのは、腰の神経が圧迫される「腰部脊柱管狭窄症」と、足の血管が細くなる「閉塞性動脈硬化症」の2つです。
見分ける大きな手がかりは「どうすると楽になるか」です。前かがみや座ると楽になるなら腰、立ち止まるだけで楽になるなら血管の病気が疑われます。ただし、この症状だけで判断するのは難しいです。
2つは原因も治療もまったく異なります。
特に血管が原因の場合は、心臓や脳の血管の病気が隠れていることもあるため、「年のせい」と思わずに原因を確かめることが大切です。
間欠性跛行とは:歩くと出て、休むと治まる足の症状
間欠性跛行は病名ではなく、症状の名前です。
「間欠性」は症状が出たり治まったりすること、「跛行」は足をかばって歩くことを意味します。
スーパーまで歩く途中で何度も休む、信号待ちのたびにしゃがみたくなる、といった形で気づく方が多い症状です。
歩ける距離が少しずつ短くなっていく場合は、早めに受診しましょう。
原因① 腰部脊柱管狭窄症
背骨の中には、脳から足へつながる神経の通り道「脊柱管」があります。
加齢によって骨や靭帯が厚くなったり、椎間板が飛び出したりすると、この通り道が狭くなり、神経が圧迫されます。
これが腰部脊柱管狭窄症です。50代以降に多くみられます。
背筋を伸ばすと脊柱管はさらに狭くなり、前かがみになると広がります。
そのため、前かがみになったり座ったりすると症状が楽になるのが特徴です。
- お尻から太もも、すねにかけてのしびれや痛み
- 両足に出ることも、片足だけに出ることもある
- 自転車をこいだり、カートを押して歩いたりすると楽
- 腰をそらすと症状が強くなる(坂道を下るときに症状が強くなる)
原因② 閉塞性動脈硬化症
動脈硬化によって足の血管が細くなったり詰まったりし、筋肉に十分な血液が届かなくなる病気です。
歩くと筋肉が多くの酸素を必要とするため、血流が足りずに痛みが出ます。
末梢動脈疾患(PAD)とも呼ばれます。
血流の問題なので、姿勢は関係ありません。
立ち止まって休むだけで、数分で症状が治まるのが特徴です。
- ふくらはぎが締めつけられるような痛みやだるさ
- 足が冷たい、色が白っぽい・紫っぽい
- 足の甲や足首の脈が触れにくい
- 自転車をこいでも痛くなる
- 喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症のある方に多い
見分けるポイント:比較表でチェック
| チェック項目 | 腰部脊柱管狭窄症(腰) | 閉塞性動脈硬化症(血管) |
|---|---|---|
| 楽になる方法 | 前かがみ、しゃがむ、座る | 立ち止まるだけでよい |
| 自転車 | 楽にこげる | こぐと痛くなる |
| 症状の場所 | お尻〜太もも〜すね・足先 | 主にふくらはぎ |
| 症状の感じ方 | しびれ、ジンジンする痛み | 締めつけられる痛み、だるさ |
| 足の冷え・色 | 変わらないことが多い | 冷たい、色が悪い |
| 足の脈 | 触れる | 触れにくい |
| 腰をそらすと | 症状が強くなる | 変わらない |
ただし、2つの病気が同時にある方も少なくありません。どちらも高齢の方に多いためです。
セルフチェックはあくまで目安として、診断は検査で確かめましょう。
原因を確かめるための検査
腰の検査:レントゲン・MRI
レントゲンで背骨の並びや骨の変形を確認します。
神経の通り道がどのくらい狭くなっているかは、MRIで詳しく調べます。
血管の検査:ABI検査(脈波検査)
ABI検査は、両腕と両足首の血圧を同時に測り、その比率から足の血管の詰まり具合を調べる検査です。
横になって血圧計を巻くだけで、痛みはなく、10分ほどで終わります。一般に、数値が0.9以下の場合は閉塞性動脈硬化症が疑われます。
整形外科でレントゲンやMRIを撮っても腰に大きな異常が見つからない場合や、足の冷え・脈の弱さがある場合は、血管の検査もあわせて行うことが大切です。
放っておくとどうなる?早めに受診したいサイン
腰が原因の場合
神経の圧迫が強くなると、歩ける距離がさらに短くなり、足の力が入りにくくなることがあります。
次のような症状がある場合は、早めに受診してください。
- 足に力が入らず、つまずきやすい
- 尿が出にくい、トイレが近い、便秘がひどくなった
- お尻のまわりがしびれる、ほてる
血管が原因の場合
足の血管が細くなっている方は、心臓や脳の血管にも動脈硬化が進んでいることがあり、心筋梗塞や脳梗塞に注意が必要です。
また、進行すると次のような症状が現れます。
- 安静にしていても足が痛む(特に夜間)
- 足の傷が治りにくい、足の指の色が黒っぽくなる
こうした症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
日常生活で気をつけたいこと
腰が原因の場合
- 長く立ち続けるときは、台に片足をのせるなど腰をそらさない姿勢を
- 買い物ではカートを押す、外出には杖や手押し車を使うと楽に歩けます
- 痛みが落ち着いている時期は、腹筋・お尻の筋肉の運動やストレッチで腰を支える力をつけましょう
血管が原因の場合
- 禁煙が最も重要です
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症の治療を続けましょう
- 医師の指示のもとで、痛みが出るまで歩き、休んでまた歩く「歩行運動」を続けることが、歩ける距離を延ばすことにつながります
- 足を清潔に保ち、小さな傷も放置しないようにしましょう
よくある質問
Q. 歩くと足がしびれるのは年のせいですか?
A. 年齢とともに増える症状ですが、原因となる病気があります。
腰の病気か血管の病気かによって治療が異なるため、一度受診して原因を確かめることをおすすめします。
Q. 整形外科と内科、どちらを受診すればよいですか?
A. 前かがみで楽になる、腰痛もあるといった場合は整形外科、足の冷えや喫煙・糖尿病などがある場合は内科や循環器内科が入り口になります。
迷う場合は、両方の検査ができる医療機関に相談するとスムーズです。
Q. 腰部脊柱管狭窄症は手術が必要ですか?
A. 多くの場合、まずは薬、神経の周りへの注射、リハビリテーションなどの保存療法から始めます。
保存療法で十分な効果が得られない場合や、排尿・排便の障害、足の筋力低下が進む場合には、手術を検討するため専門の医療機関をご紹介します。
Q. 自転車なら平気なのに、歩くとつらいのはなぜですか?
A. 自転車に乗ると自然に前かがみの姿勢になり、背骨の中の神経の通り道が広がるためです。
腰部脊柱管狭窄症によくみられる特徴です。
当院での診療
当院では、整形外科の診察とレントゲン検査に加え、グループクリニックでのMRI検査、脈波検査(ABI検査)に対応しています。
腰と血管の両方の可能性を、通い慣れたクリニックで確かめられるのが特徴です。
腰部脊柱管狭窄症と診断された場合は、薬や注射による治療に加え、理学療法士による運動器リハビリや物理療法を組み合わせて治療します。
内科も併設しているため、動脈硬化の原因となる糖尿病・高血圧・脂質異常症の管理もあわせてご相談いただけます。