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ベーカー嚢腫(膝窩嚢腫)

ベーカー嚢腫(膝窩嚢腫)

ベーカー嚢腫(のうしゅ)は、膝の裏に、関節液という水が溜まった袋ができて、ポッコリと腫れてしまう状態です。

膝の関節の中には、動きを滑らかにするための関節液が入っています。
膝に何らかの炎症が起きると、この関節液が異常に多く分泌され、いわゆる膝に水が溜まった状態になります。その水が関節の後ろ側にある袋に流れ込んでパンパンに膨らんでしまうのが、ベーカー嚢腫です。
中高年の女性に多く見られますが、まれに小さなお子様に発生することもあります。

ベーカー嚢腫の原因と症状

原因

ベーカー嚢腫の多くは、単独で起こるわけではなく、膝関節の別の病気が原因となって発生します。

  • 変形性膝関節症
    加齢により軟骨がすり減り、関節内に炎症が起きて水が過剰に作られます。
  • 膝半月板損傷
    クッションの役割をする半月板が傷つくことで炎症が起き、水が溜まります。

小児の場合は、特に原因となる病気がなくても発生することがあり、成長とともに自然に消えることが多いです。

 

症状

〇膝の裏のしこり・腫れ
膝の裏にピンポン玉や鶏の卵くらいの大きさの、柔らかい(または少し張りのある)しこりを触れます。

〇圧迫感・つっぱり感
膝の裏に何かが挟まっているような違和感や、ふくらはぎにかけての重だるさ、つっぱり感が生じます。

〇曲げ伸ばし時の痛み
膝を深く曲げた正座・しゃがむ動作や、ピンとまっすぐ伸ばした時に、袋が圧迫されて痛みや窮屈さを感じます。

〇破裂による急激な痛み
まれに、袋がパンパンに膨らみすぎて破裂することがあります。中の水がふくらはぎの筋肉の間に漏れ出すと、ふくらはぎに強い痛みや腫れが出現します。

 

ベーカー嚢腫の検査

問診や触診で、しこりが単なる水分の溜まり(ベーカー嚢腫)なのか、それとも血管のコブ(動脈瘤)や別の腫瘍なのかを医師が直接確認する他に、以下の検査を行います。

【超音波検査】
最も手軽で分かりやすい検査です。しこりの中身が「液体」であることを確認し、ベーカー嚢腫と診断を確定します。

【レントゲン検査】
嚢腫自体は写りませんが、原因となっている「変形性膝関節症」などの骨の異常がないかを確認します。

【MRI検査】
膝の奥深くの状態や、半月板損傷など、レントゲンやエコーでは見えにくい根本的な原因を詳しく調べるために行います。

 

ベーカー嚢腫の治療

痛みや生活への支障がなければ、放置しても問題ないのが基本です。症状が強い場合に合わせて治療を行います。

保存療法

1.穿刺による吸引
 腫れが大きく、つっぱり感や痛みが強い場合は、注射器で袋の中の水を抜き痛みを和らげます。

2.根本原因の治療
 ベーカー嚢腫は「結果」として生じたものです。原因である「変形性膝関節症」や「半月板損傷」の治療を並行して行うことが、再発を防ぐために最も重要です。

 

手術療法

水を抜いてもすぐにパンパンに溜まってしまうことを繰り返し、日常生活に大きな支障が出ている難治性の場合は、手術を検討します。
近隣の病院へ紹介状をお書きします。

 

ベーカー嚢腫の予防法

・太ももの筋力アップ
太ももの前側の筋肉を鍛え、膝関節をしっかり支えることで、関節内の炎症を予防します。

・適正体重の維持
体重が重いほど膝への負担が増し、軟骨がすり減りやすくなります。適正な体重を保ちましょう。

・膝を冷やさない
血行が悪くなると関節が硬くなり、負担が増します。サポーターや入浴などで膝を温め、柔軟性を保つように心がけてください。

 

ベーカー嚢腫に関するよくあるご質問

Q. 膝の裏のしこりは「ガン(悪性腫瘍)」ではありませんか?

A. ベーカー嚢腫であれば、中身は関節液の溜まった良性の袋ですので、ガン(悪性腫瘍)に変わることはありません。命に関わる病気ではないため、過度なご心配は不要です。
ただし、自己判断は禁物ですので、しこりを見つけたらまずは超音波検査などで中身をしっかり確認するため、整形外科をご受診ください。

Q. 水を抜いてもらうと、またすぐに溜まる(クセになる)と聞いたのですが…

A. 「水を抜くからクセになる」のではなく、「膝の中で炎症が続いているから、また水が作られてしまう」というのが正しい理由です。
ベーカー嚢腫はあくまで膝のSOSのサインです。水を抜いて楽になった後も、原因となっている変形性膝関節症などの治療やリハビリをしっかり続けることで、次第に水は溜まらなくなっていきます。

Q. 自分で揉んだり、押しつぶしたりしてもいいですか?

A. 絶対にやめてください。無理に強い力で揉んだり押しつぶそうとすると、袋が破裂してしまう危険性があります。
破裂すると漏れ出した関節液がふくらはぎに強い炎症を引き起こし、激しい痛みで歩けなくなることがあります。気になる場合は触らずに、医師にご相談ください。

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